ミツバチと花と人間の関係

イギリスには、「The history of honey is history of mankind. (はちみつの歴史は人類の歴史)」ということわざがあります。

このことわざのとおり、私たち人間は長いあいだミツバチが一生懸命集めているはちみつを採蜜し、暮らしのなかに取り入れてきました。

 

ミツバチが初めて地球上に姿を現したのは、いまから約2千万から1千万年前だと言われており、人間よりもはるか昔から存在する生き物なのです。

 

ミツバチと人間の関係はとても古く、紀元前2600年ごろに描かれたとされるエジプトの壁画には、はちみつの採蜜から保存するまでの様子が描かれており、これが世界初の養蜂の歴史のはじまりだとされています。

また、スペイン東部にあるラ・アラーニャ洞窟の壁にはミツバチの巣に手を入れている人たちの姿が描かれており、古代の人々は蜂に刺される危険を冒してでも手に入れたい食べ物であったことがうかがえます。

さて、そんなミツバチたちですが、実は人間の他に花を咲かせる植物たちにとっても無くてはならない存在だということをご存知でしたか。

 

そこで、今回はミツバチと花と人間の関係について詳しくご紹介します。


ミツバチの関係とは?

ミツバチと花を咲かせる植物はとても密接な関係にあります。

 

植物は太陽から降り注ぐ光エネルギーを糖質に変換し、その一部を蜜腺と呼ばれる小器官から分泌しミツバチたちに提供します。

この蜜腺から分泌された甘い液体には、ミツバチの健康を支えるための栄養成分だけではなく、飛行や巣内の暖房用燃料、巣の材料としての役割があり、さらに花の蜜を集める際にミツバチの体に付着する花粉も彼らにとっては貴重な食料となります。

 

しかし、これではミツバチばかりが得をしているように見えますよね。

 

実は、ミツバチたちは花の蜜と花粉を植物から集める代わりに花粉の媒介を行い、植物の再生産をサポートしています。

この花に依存したミツバチのライフスタイルが、自力で移動する手段を持たない植物たちにとって無くてはならない存在となっています。

このような活動を行うミツバチなどの生き物のことを「花粉媒介者 (ポリネーター)」と呼び、現代の農業生産の現場では必要不可欠な存在となっています。


ミツバチポリネーターとして用いられる理由とは?

自ら動くことのできない植物たちの交配をサポートする重要な役割を担っているポリネーターはミツバチだけではありません。

鱗翅目に属するチョウチョをはじめ、カリバチ類ハナムグリなどの甲虫、キンバエ類、半翅目のハナカメムシ科カスミカメムシ科などもポリネーターとして活躍しています。

また、熱帯地域に自生している一部の植物たちはコウモリハチドリトカゲキツネザルなどの脊椎動物をポリネーターとすることもあります。

 

 

しかし、ポリネーターの中には送粉を一切行わず、花蜜のみを採る習性を持つ「盗蜜者」もおり、さらにポリネーターとして活躍している生き物の中には送粉者として振る舞うときもあれば、盗蜜者として振る舞うときもあるため、必ずしも全ての生き物がポリネーターとして真面目に活動しているわけではありません。

 

ただ、生きてゆく上で花の蜜を必要としているミツバチは花に依存した生活を送っているため、盗蜜者として活動することは稀なのだそうです。


ミツバチ人間

ミツバチは他のポリネーターたちと比べて、

・利用する花の種類が極めて広い

・ほぼ全ての作物の受粉を行うことができる

・簡単に運べる機動性に優れている

・適切な管理を行なえば長期間使える

など、様々なメリットがあり、農家の方々の間でたいへん人気の高いポリネーターとなっています。

 

しかし、2000年以降、世界各国でミツバチの姿が消えているというニュースが後を絶ちません。

 

世界の食料のおよそ90%を占める100種類の作物種のうち、7割がミツバチをポリネーターとして受粉を行っていることが、国連環境計画「UNEP」によって明らかにされ、ミツバチたちは生態系だけではなく、私たち人間にとっても非常に重要な存在であることが分かったのです。

 

そのため、ミツバチたちが消えてしまうと、リンゴやアーモンド、カカオ、にんじん、ナス、ニンニク、さくらんぼ、カボチャ、モモ、梅、カリフラワー、キャベツなどの農作物が食べられなくなってしまいます。

 

なぜ、ミツバチたちは姿を消してしまったのでしょうか。

 

その原因は、様々考えられますが、農作物を守るために使用されているネオニコチノイド系の農薬、吸血ダニによって引き起こる変形羽ウイルスの感染蜜源となる植物の減少などといわれており、これらほぼ全ての原因が人間にあることが分かったのです。

 

ミツバチを守るためには、

・ネオニコチノイド系の農薬使用の停止

・変形羽ウイルスの感染を防ぐために国境を渡る際は必ず蜂の健康診断を行い、輸送管理を厳しくする

・蜜源となる植物の保護

などが重要となっています。

 

現在、ヨーロッパやアメリカ、中国、韓国などはちみつの採蜜が行われている地域では、ネオニコチノイド系の農薬使用に規制をかけているのですが、日本は厚生労働省より2013年10月、一部の農作物に含まれるネオニコチノイド系クロチアニジンの残留農薬基準を最大2000倍と大幅な緩和が行われ、日本国民から20000件を超える反対署名や2000件近いパブリックコメントが提出されたにも関わらず、厚生労働省や農林水産省はこうした国民の声に耳を傾けようとしてくれません。

 

そのため、自分たちの手でミツバチを守ろうと、自主的に農薬の使用を規制したり、蜜源となる植物を増やしたり保護する活動が日本各地で起こっています。

 


今回は、ミツバチと花と人間の関係についてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

今までミツバチははちみつを採るための道具として捉えていた方も大勢いたかもしれませんが、ミツバチが居るからこそ、植物たちは交配して新たな生命を育むことができ、私たちはおいしい野菜や果物を食べて健やかな生活を送ることができているのです。

 

 

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